あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
私が怒涛のスケジュールをこなして和泉さんの迎えの車に乗ったとき、地を這うような和泉さんの声に出迎えられ背筋が途端に冷えた。
「な、何ですか…」
「お前…何を勝手な事してくれてんだ」
「だから何なんです」
何度かこうして和泉さんの逆鱗には触れてきたが今回ばかりは思い当たる節が無い。疲れ切った頭ではそれが余計に働かず、私は身を硬くするしかなかった。
「霜月漣って言えば分かるだろ」
「……」
言葉を失う。交際相手については聞かれなかったから言わなかったけれど、相手が彼だと知られてそれが問題になってしまったのだろうかと血の気が引いた。
漣がかなりの遊び人であったことは公然の事実。彼との交際は私の今後の活動に影響を及ぼすのかと酷く震えたし、怖かった。
車は駐車場から発進せず、和泉さんは直に睨みつけてくる。
そして差し出されたものに私は思わず目を瞑った。
「お前、何を勝手に専属契約してんだ」
「…は?」