あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
——疲れてたのかな…
それはそうだ。今朝方こちらに帰国して家を整え、かつ私の事務所にまでわざわざ出向いていたのだ。時差ぼけだってあるだろうに。
少しだけ体から落ちていた毛布を起こさないようそっと掛け直す。漣の寝顔はいつものニヒルな薄笑いが消え、途端にあどけなくなる。私を信頼しきっているような安心したその顔は、本人には言わないけれど昔から好きだった。
漣が同じマンションに引っ越したと聞いた時は咄嗟に引いたけど、考えればこれはある意味漣からのメッセージなのかもしれない。
これからは裏切らないと、私だけの漣でいてくれると、そういう意味もこもったものなのかもしれない。
——まあ、考えすぎな気もするけど
漣が強引で自分勝手なのは昔からだ。そんなところが嫌だった。けれど、どうしようもなく好きだった。
それは今も、まだ。
これから彼といる事で、この胸に抱く言い得ぬ虚しさはいつか消えるだろうか。…だけど、あまり期待はしないでおこう。
今はただ、私だけと言ってくれた彼の言葉を、素直に信じてみたいと、そう思うから。