あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
帯を解き、初期の頃よりだいぶ軽装になった着物を脱ぎ、用意されていた着物用のハンガーに着せてラックにかける。そのまま全て脱ぎ捨て、鬘を取り髪を下ろした。漣がいれば簡単に結えてもらうがそれも叶わないので簡単にクリップでまとめ、控え室を出た。
既に夜もふけ始めており丸一日の撮影と完遂した安堵感から早々に帰宅したかった私は漣がいるであろう喫煙所に向かう。
と、その時だった。
「ああ、いたいた。白雪ちゃん」
ゲッと思わず顔が歪んだ。はち合わさないよう早いスピードで着替えたのに、なぜこの男がいるのだ。
「クランクアップおめでとう。今日の演技も素敵だったよ」
「佐原さん…ありがとうございます」
未だ袴姿のその男は愛想良く微笑みながら寄ってくる。一歩下がるも、それを上回る脚の長さであっさりと距離を詰められてしまった。
「君のマネージャーならまだ現場で捕まってたよ」
「そ、そうですか…」
「…ね、ちょっと気になったんだけど」
「なんでしょう…」
てっきり開口一番また口説かれると思ったがそうではなく、それはそれで何事かと身構える。そんな警戒心をわかっていながら、佐原は悠々と笑う。
「今日のシーン、すごい良かったんだけど…あれ、実体験だったりする?」
「…は?」