あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
言ってすぐにハッと我に返った。全身の震えのせいであまり声量は出なかったものの、目の前の男にはハッキリと聞こえていたようできょとんとしていた。
「…ふーん」
佐原は私の手を下ろしたが、目を細め、値踏みするように私を見た。
「それってあのスタイリスト君のこと?」
「!?」
「あ、図星だ」
墓穴を掘ってしまったと感じた時には手遅れだった。けれど大方予想はついていたのだろう、さして驚いた様子も無く佐原は続けた。
「けどさあ、いいの?彼、かなり女遊び激しいでしょ」
「…!」
「なんで知ってるか?そりゃあ、事務所の後輩何人も喰われてるからね」
けらけらと笑う佐原に徐々に血の気が引いていく。それを見越したかのように、佐原は耳元に顔を寄せた。
「今もさあ…彼、一体どこに居るんだろうね?」
「……」
「そんな睨まないでよ。ただの対抗心だよ」
両手を上げてひと笑いすると、佐原は腕を組んでにんまりと笑った。
「同族嫌悪ってやつかな。だからそんな彼が白雪ちゃん独占してるの、なんか妙に腹が立つんだよね」
「…私を巻き込まないでもらえますか」
「白雪ちゃんに興味があるのは本当だよ。誰にも靡かない孤高の白雪姫が、一体どうやったら落ちてくれるのか。…あ、もしかしてさ」
声を落とした佐原に、ゾクリと嫌なものを感じた。
「体から落とされちゃった感じ?」
「っ!」