あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
思わず馬鹿正直に反応してしまった私を見て、佐原は面白おかしく笑った。
「人はそうは変わらないよ、白雪ちゃん。俺を見てれば分かるよね?」
「…それでも、私は、」
喉の奥がツンと詰まり、言葉が続かない。ここぞとばかりに急所を突かれたせいで、反論の言葉が全く思いつかなくなってしまった。
今の漣を信じてる。けれどやはり過去の事を持ち出されると当時の気持ちが呼び起こされ、胸が引き裂かれるように痛む。
欲しくて堪らなかった人を求められなかった日々。他の女を抱く彼をただ黙って見ていなければならなかった苦しさが、呼び起こされる。
泣きたくなんかないのに、目尻には勝手に涙が浮かんでしまった。
そんな私に佐原の手が伸びてくるのが分かる。けれど今の私には、それから逃れられるだけの気力が湧かなかった。
「——ちょっと、」
途端、グイと身体が後ろに引かれた。温かな温もりに包まれていると気付いた時には、鼻を掠める煙草の香りに包まれた。
「俺の婚約者にこれ以上手、出さないでもらえます?」