あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜


言うや否や漣は懐から何かを取り出し、それを見せつけた。濃紺の小箱。それに印字されているブランド名だけで、それが一体なんなのか容易に想像がついてしまった。

漣は当たり前のようにそれを私に手渡し、私の手のひらごと包み込む。


「俺たち、これからすごく大事な用があるので失礼しますね」


そう言って私の肩を掴みくるりと半回転させる。
そのまま強引に押し進め、建物の入り口まで出るとそこに待機していたタクシーの中に私を押し込んだ。


「れ、漣…」


何かを言おうとした私の唇に人差し指を当て、漣は笑う。


「和泉さんにはこのまま帰ること言ってあるから、もう少しだけそれ、持っててくれる?」

「……」


漣の台詞に言葉を失い、私は頷くことすら出来ずに呆然とする。間も無くして到着したのはロケ地からほど近いホテルだった。

てっきり帰宅するものだと思っていた私は再び呆気に取られ、漣に帽子を被され手を引かれた。

誰もが知る高級ホテルはただ部屋に入って寝るだけにはあまりにも勿体ない。怖気付く私など他所にずんずん進んでいく漣にただ着いていくしかできず、既にチェックインを済ませて居るのだろう漣は目的の部屋へと歩いて行った。

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