あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
もう迷いは無い。漣の真っ直ぐな愛の言葉と、涙を見て心を決めた。
信じるには早過ぎるかもしれない。だけどきっとどれだけの時間をかけたって、結果は同じだ。
どれほど不安になろうと、傷つこうと、私は結局最後には漣を選ぶ。それならば、私は今ここで孤独に泣いている漣を安心させてあげたい。
たかがキスひとつで、私の身ひとつで漣の心が救われるなら、叶えてあげたい。…そう、思った。
「…いいの?」
漣は呆然と立ち尽くしたまま私を見ていた。
「今まで散々強引に事を進めてきた人が言う台詞?」
「……」
「もう、まどろっこしいな。早くしてよ」
私とて、プロポーズの催促なんてそれなりに恥ずかしいのだ。可愛げのない言葉を吐きながら左手を差し出す。漣は戸惑いながらも、ゆっくりとそれを取った。
「…白雪」
静かに。意を決したように、漣は私を見つめた。
「…こんな、自分勝手で情けなくて、どうしようもない、俺だけど」
「…うん」
静寂が落ちる。少しの時間も永遠に感じるように長かったけれど、それでも私はただ彼の紡ぐ言葉を待った。
「…及川白雪さん、俺と、結婚してくれますか」
ゆっくりと指に輝く指輪がはめられる。改めて感じるその重さに苦笑しながらも、私の心は幸せで満ちていた。
「…はい。よろしくお願いします。霜月漣さん」
言葉と共にもう一度漣にキスを贈る。だいぶ歪で遠回りしたどうしようもない関係だけど、だからこそ、私は二度と漣の手を離さない。
ゆっくりと背に回された漣の手の温かさを感じながら、心の中で誓った。