あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜



「…白雪は繊細だね。そんな事私、考えたこと無かったなあ」

「…ごめん、変なこと言って」

「ううん。そりゃあ、そんなの当たり前じゃんって言うのは簡単だけど…それだけ白雪が真摯にこの仕事に付き合ってきたって事でしょ?親友としてその気持ちを無碍にはしたくないよ」

「萌葉…」


童顔なのにどこか大人びた顔を見せる萌葉は、いつもの溌剌とした印象を消し穏やかに笑う。


「とは言っても、特に安心させてあげられる訳じゃないけどね。私だって所詮はこっち側の人間な訳だし」

「…そんなこと…」

「白雪の事だから、結婚を公表する事で那由多の時みたいに霜月さんにヘイトが向かないかを心配してるんでしょ?」

「うん…」


左手にもう片方を重ねる。漣は平気だと言っていたけれど、やはりどうしたって不安は拭えない。

私だって、漣が側に居ない事などもう考えられないのだ。


「で、その婚約者さまはどちらに?」

「今は事務所で打ち合わせしてるよ」

「普段は白雪とほぼ行動一緒にしてるんでしょ?ならそんなに心配する必要無いんじゃないの?」

「うん…だから私の取り越し苦労にはなると思う」

「心配になるのは仕方ないけどね。変な奴はどうしたって出てくるし」


カランとカップにスプーンをたて、空になったそれをテーブルに置きながら萌葉は背もたれに身を預ける。


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