あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「気に入らないところがあれば教えて。他探すから」
背中の後ろから手を回して私を優しく抱く。そんな漣に、私はゆっくりと視線を向けた。
「…漣、もしかして私が不安がってるの知って…?」
ここ最近の私の懸念を思えば、漣が突然引越しなんて言い出して、しかもこんな万全すぎるセキュリティのある物件を選んできたのにも納得がいく。
そう思い見つめるも、漣は少しも笑顔を崩さなかった。
「何のこと?俺はただ、白雪と静かな場所で一緒に暮らしたいって思っただけだよ」
素直には言わないけれど、漣の飄々とした態度からも、きっとそうなのだと思った。
「それに和泉さんから聞いたよ。白雪、このマンションかなり長いんだって?防犯面から見ても時々は引っ越した方が良かったんじゃないかと思うんだけど」
「だって引っ越すの面倒くさかったから」
「…白雪ってそういうところあるよね」
雑な性格だとでも言いたいのだろうか。ある程度自覚はあるので反論はしないけど。
それに対して返事をする事なく、私は資料に目を落とす。
「文句なんてあるわけないよ。…けどこんな高級なところ、一体家賃がいくらになるか…」
「ああ、そういう心配はしなくていいから。白雪はアリかナシかだけ考えてくれれば」
「……」