あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
そもそも、こちとら初めての連続ドラマなのだ。たとえ少ししか入る時間が無かったとしても台詞覚えだったり演技の研究だったりやる事はたくさんある。
今回の役が今後の活動に影響する、プレッシャーだって半端じゃない。
そう思うと顔が強張っていたのだろう、霜月さんに頬を優しく摘まれた。
「顔、怖いよ」
「…メイクが崩れます」
「そんなの後で直して貰えばいいよ」
霜月さんの手が離れ、彼はそれを懐に仕舞う。
「分かった。じゃあ再来週、約束だよ」
今度は逃げないでね。目を細めながらそう言った。
罪悪感が身を襲う。
こんなことをしていていいのだろうか。
そうは思うのに、目の前の魅惑的な男から逃れられる気がしなかった。
せめてこれ以上は囚われまいと目を伏せ、私は小さく頷いた。