あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜

「冗談じゃなくて本当に。俺はどうなっても、白雪さえ無事ならそれで良いんだよ」

「……」

「…まあ、ご覧の通り…全然、守ってあげられなかったけど…」


漣は私に傷をつけた事をひどく悔いているようだった。きっと私がどれだけ大丈夫だと言っても、彼は引かないだろう。

そう思うと苦しいほどに息がしづらくなり、たまらず私は漣に抱きついた。


「…私、しばらく仕事休む」


漣の体に腕を回したまま、私は静かに言った。


「…え?」


声だけで漣が動揺しているのが分かる。きっと私が今回の事で心に傷を負ったのだと思っているのだろう。だけど、そうじゃない。

私は揺らぐことなく、言葉を続けた。


「どうせ傷があるうちは仕事できないし。…けど、今決まってる仕事が終わっても、しばらく休みたい」

「…どうして?」


私の心の機微を察したのか、漣は優しい声で聞き返した。

< 317 / 331 >

この作品をシェア

pagetop