あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜



「——では、加害者の存在には全く気付かなかったんですね」


事情聴取の際、警察に尋ねられ当たり前のように肯定を返した。


「もちろんです。…あんな所に人が隠れているなんて、思いもしませんでしたよ」


そう言って作り笑いを向ける。

実際は、白雪のマンションのエントランス付近に死角になる部分があるのには前々から気付いていた。

あの時だって男がそこに潜んでいたのも分かっていた。だから出来る限り白雪が見えないよう隠したつもりだったが、刃物を持ちだしてきたのは正直予想外だった。


「…大分大きな怪我をされたようですが、どんなやり取りを?」


警察の言葉にありのままを伝える。

白雪を庇おうとして腕を切り付けられた事。彼女に刃物を向けられたので咄嗟にブラフのサイレン音を鳴らし、一瞬相手の気を逸れたところでバランスを崩して組み敷いたと。


「格闘技か何かご経験が?」

「はい。柔道と合気道を少し」

「なるほど…」

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