あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜



「あの時ちゃんと守ってやれなかったから。俺がいるなんて偉そうに言っておきながら、情けないよ」

「十分守ってくれたじゃない。それに私の怪我はもうすっかり消えたよ」


痛みも無ければ痕も無い。カウンセリングにももう通っていない。全部が元通りだ。

ただ仕事は、やはり以前にも言った通り少しの間休ませてもらう事にした。

名目上は新天地での生活に慣れる為。事実はメンタルケアも兼ねてのお休みだけど、きっと漣の言う通り、それほど長い休みにはならないと思う。


「ゆっくり休めばいい。だけど白雪がどんな選択をしても、俺はずっと白雪の側にいるよ」

「うん」


幸か不幸か、あの事件が報道された事で私がメディアに出なくても邪推される事はない。

私がもう一度お芝居の世界に戻るまで、もう少しだけ、それを利用させてもらおうと思う。


「それに蜜月なんだから、夫婦でイチャイチャしたって誰も文句は言わないでしょ」

「それ、結婚前と何が違うの」


四六時中一緒にいるのも、同じ家で寝泊まりするのも以前と変わらない。変化があったのは、私の戸籍名が及川白雪から霜月白雪に変わったくらいだ。


「そうだね、例えば…食事の後に白雪を寝室に連れ込んでも、誰にも文句言われないとか」

「……変態」

「はは!白雪ってば何を想像したの?」


漣にしては珍しく行儀悪くテーブルに肘をつき、にんまりと笑う。


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