あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
クスクスと笑う萌葉は清楚な売り方をしているにも関わらず、その笑みは小悪魔そのものだ。
これを恐怖と取らずゴシップと捉えるそのメンタルの強さには感服する。
——そっか、やっぱり。
そう思ってふと思考を止める。
今私は何を残念がった?気の乗らないと仕事をしない霜月さんがそのアイドルの子の仕事を受けた事?彼が自分以外の女性に手を出した事?そんな事最初から分かってたはずだ。
「白雪?」
「…萌葉、」
きょとんと私を見つめる彼女を見つめ返す。
この心を、悟られる訳にはいかない。
「楽しいのはわかるけど、自分もその対象になること忘れちゃダメだよ」
「あはは!確かにね〜」
そうなったら死活問題だ!と、そう笑う彼女に危機感はない。今のところそういったネタになるようなものが無いのだろうか。
その後すぐに「何笑ってんの」と呆れて戻ってきた那由多が揃ったところで再び撮影が再開となった。
先に絡みのある2人を見送り、私は1人椅子に腰掛けたまま台本を開く。一向に入ってこない内容のそれをただ眺めながら、ため息を吐いた。
——明日、会うんだよなあ…
約束は明日。そして久しぶりの丸1日オフの日でもある。
どんな顔をして会えば良いのだろうか。そんなことを考えながら、ただ自分が呼ばれるのを待った。