あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜


約束の日の夕方。母には大学の友人と飲みに行くと嘘をついて家を出た。

徒歩と電車を利用して霜月さんから送られてきたお店へと向かう。希望を聞かれたので嫌味も込めて高いところがいいですと答えれば、会員制のレストランの住所が送られてきた。

ホームページなんてものがないので隠れ家的なそこを見つけるのに苦労し、少し遅れて到着すれば店員さんからお連れ様は先に到着されてますなんて言われてひどく緊張した。

一般家庭育ちで大学生の私はこういった高級な店とは縁遠い生活をしてきたので慣れているはずがない。服装はなんでもいいと言われていたけれどこれで本当に良かったのか今更になって不安になってしまった。

扉が開かれ通された先の個室には、霜月さんがアイコス片手に寛いでいた。
こちらに流し目を向けると、気怠げだった雰囲気は一気に華やかさを取り戻す。


「こんばんは、白雪ちゃん。会いたかったよ」


なんとも甘い言葉を吐く霜月さんに「どうも」と素っ気なく返事をした。だと言うのに目の前の彼は気分を害した様子は一切無く、にこにこと微笑んでいる。

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