あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜


「元気だった?」

「そこそこです」

「そっか」


コートをどうしようかと思っていたら店員さんが受け取ってくれて、これがマナーなのかなと思うと少し恥ずかしくなった。


「気を張らなくていいよ。そういうの厳しいお店じゃないから」


霜月さんがそう言うと店員さんは品よく微笑んだ。
おずおずと促されるままに腰をかければ苦手なものはと聞かれたので無いと答える。


「じゃあお任せで」


短く霜月さんに言われ、お辞儀をして店員さんは個室を後にした。


「白雪ちゃん、お酒は?」

「飲みません」

「さすがの警戒心だ」


グラスに注がれた水を口に含み、緊張で渇いた口内を潤す。ふう、と息を吐くと霜月さんは肘をついて身を乗り出してきた。


「白雪ちゃんのデート服って、そんな感じなんだ」


それはどういう意味だろう。
持っている服の中で一番綺麗めなものを着てきたけれど、普段はこんなの堅苦しくて着ない。一番好きな服はスウェットだと自信を持って言えるくらい、私はこう見えて出不精なのだ。

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