あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜


「…ほんとそういうの、やめてください」

「でもあったまったでしょ?」


にこりと笑う霜月さんに悪びれる様子はない。
表面上では何でもない事のように振る舞ったけれど、ドクドクと音を立てる心臓の音は尋常でないほど大きくよもや聞こえてしまうんじゃないかというほどだった。

平静を装いながら前を向き直り、機材を確認するスタッフさん達を眺めていれば霜月さんは隣へ腰掛けてきた。


「マネージャー、男に変わったんだね」

「そうですけど…何か?」

「白雪ちゃんといつも一緒にいれるの、いいなあって思ってね」


霜月さんの座っている方の半身だけ熱が引かない。落ち着きを取り戻すため、スープを飲む。


「売れっ子ならそうですけど、担当何人かついてるのでそんなでもないですよ」

「ふうん。けどほぼ毎日会うよね?俺白雪ちゃんに会えたの4ヶ月も前だよ」

「普通はそんなもんじゃないですか」

「だからかなあ、いつまでも距離感じちゃうんだよね」


人の話を聞かない霜月さんは覗き込むように顔を傾け、あれからまた少し伸びた髪がさらりと落ちる。


「ねえ、いつになったら漣って呼んでくれるの?」

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