あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
魅惑的な微笑み。その中に、微かな寂しさを感じた。
「…人前で呼んだら、勘違いされちゃうじゃないですか」
「じゃあ2人きりになったら呼んでくれる?」
「そんな時が来れば、ですけどね」
食事にはもう行ったし、彼も人との食事は好きでないと言っていたから二度目は無いだろう。
また一口カップに口をつけ、スープを飲み干せばそれを自然な動きで奪われた。
「じゃあ、敬語だけやめてくれる?」
それくらいは良いよね、とにこりと笑う。
名前呼びよりはリスクも低いかと思いこくりと頷いたところで、撮影の準備が整ったと名前を呼ばれた。
「いってらっしゃい」
相変わらず本心の読めない口調で肩にかけてあった毛布を受け取り、見送られる。
一体何を考えているのか、それを理解するには私は彼のことを知らなさ過ぎた。