あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
親切なスタッフさんに任せ、私は先に会場を後にする事にした。
あの堅物が醜態を晒すなんて明日はきっと雨だな、なんて馬鹿らしいことを考えながら部屋に到着し、カードキーをかざす。
私にはいまいちお酒を楽しむという感覚が分からない。そもそもがそれほど強くないせいもあるが、過去アルコールの解禁日にごっそりと記憶を飛ばし、以来親から外で飲むのは控えろと言われている。
一体私は何をやらかしたんだ。
部屋に入り、スリッパに履き替えながら一息つく。撮影後に入浴は一度済ませてあるし、今日はもうこのまま歯磨きだけして寝てしまおう。
疲れたし、久しぶりに美味しいものを沢山食べてお腹いっぱいになったせいか酷く眠い。
歯ブラシをカップに立て、大きな欠伸をしながら部屋着に着替えた時だった。
コンコンと、部屋のドアを叩く音。
私の部屋を知っているのは女性スタッフとマネージャーの和泉さんだけだったから、その時の私には警戒心というものが完全に失われていた。
明日のことで何か伝え忘れたのかな、そう思ってドアを開けば、対面にいた人物に勢いよく乗り込まれ、呆気なく唇を奪われた。