あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「!?」
雪崩のように押しかけたその人は食むようにキスをし、そのまま押し入る。
混乱する頭でも微かに香る香水の匂いで、その人が誰なのかは顔を見ずとも分かってしまった。
舌を捩じ込もうとする男の体を力一杯に押し退け、これ以上無いくらいに睨みつけた。
「っ、何するんですか!霜月さん!」
怒りに任せて怒鳴れば、霜月さんは余裕の表情で私の唇に人差し指を当ててくる。
「おっきい声出したら聞こえるよ、白雪ちゃん」
「!」
私は咄嗟に外に顔を出して廊下を見回し、誰もいない事を確認してドアを閉めた。
再度霜月さんを睨めば、被っていたキャップをフックにかけながらクスクスと笑っていた。
「なんで私の部屋、」
というか、霜月さんは飲みの会場にも居なかった。最初はいた気がするけれど、気付いた時にはすっかり姿が見えなくなっていた。
「そろそろ白雪ちゃん連れ出そうかと思ってタバコから戻ったらもう居ないし。だから丁度潰れてた君のマネージャーを部屋に送ってあげた対価に、ちょっとね」
「…和泉さんが言ったんですか?」
「まさか。…でも、何でもメモしておく人って、すごく不用心だよね」