あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
悪戯な微笑み。それと同時に、几帳面な和泉さんの愛用のメモ帳を肌身離さず持ち歩くという癖を思い出した。
「ど、どうしてそんな事…」
「俺がみすみすこのチャンスを逃すと思う?」
そう言い、私の背にある扉に手をつく。
「君に触れたかった。これでも我慢してあげてたんだよ。撮影中、ずーっと…ね」
輪郭をなぞられ、そのまま指の腹で顎を持ち上げられる。強制的に合わされた視線に、その美しい顔に、目を逸らすことが出来なかった。
「ね、名前呼んでよ」
「…え、」
「2人きりならって言ったのに、さっき呼んでくれなかったじゃん。敬語のままだし」
「……」
名前を呼んでもらう為だけに来たんだろうか。いや、そんなわけない。だってあの霜月さんだ。この後の展開なんて、簡単に思いつく。
「ねえ白雪ちゃん…覚えてる?」
耳元に寄せられ、甘い声と共に漏れる吐息に金縛りにあったみたいについには体まで動かなくなる。
「恋の相手に俺はどうって、初めて会った時、そう聞いたよね」