あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
苦笑しながらそれを見送れば入れ替わりで会場に来たスタッフさん達とエンカウントしてそのまま一緒に食事をとる事になった。
数人で席を囲み、雑談をしていると不意にそのうちの1人が声を落として声をかけてきた。
「あのさ…白雪ちゃん。今も新木那由多と連絡取ったりしてない?」
味噌汁を口に運んでいた手を止め、少し前までよく顔を合わせていた男の名前を突然言われて首を傾げる。
「連絡…は、まあ取ろうと思えば取れますけど」
「ほんと!?あの…実は、ちょっとお願いがあって」
「なんですか?」
お願いの内容によるけれどと思いつつ聞き返せらば、その女性スタッフさんは「ええと…」と言いにくそうに続けた。
「私の息子が那由多くんの出てた戦隊シリーズにハマってて。けど数年前でしょ?イベントとかも今更無いし、グッズとかも旬じゃ無いから転売の高いものしかないし」
「はあ…」
「今度息子の誕生日なんだけど、私の仕事を察してかレッドに会いたい!なんて駄々こねられて参ってて…だからせめて、サインだけでもいただけたらなあ…って…」
「なるほど」
私の従兄弟の娘も似たような感じなのでスタッフさんの気持ちはよくわかる。その子はプリンセス願望の強い子で、夢の国に連れて行けと事あるごとに大暴れをしている姿を思い出して、勝手に姿を重ねて笑ってしまった。