あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
脅しとも取れる内容に血の気が引き、私は途中下車して駅から飛び降りた。今直ぐに来て、そう続けられていたから。
キャリー片手にマスクをつけたまま小走りに走ったせいでタクシーに着く頃には完全に息が上がっていた。運転手に住所を告げて目的地へ向かう。
握った手が湿っているのは、関係をバラされる恐怖か漣と個人的に会う緊張か。
しばらく車に揺られて到着した場所は低層マンションだった。けれどその高級感のある外観や立地、建物内に続く駐車場まで完備されている事から別世界のように感じた。
来いと言われたから来たけれど、こんな場違いな場所にこんなルーズな服で入ってもいいものか。
タクシーから降りて気後れしながらエントランスへ入れば、もはやロビーだと思うような空間が広がっていた。
そしてその共有スペースと思われる場所に優雅に腰掛けていた人物へ、足を進める。
「早かったね」
「……」
睨むように見つめれば、当たり前のように立ち上がり腰を抱かれる。
「…ここ、漣の家?」
「そー。白雪ならいつでも来ていいよ」
まるでエスコートさながらに手からキャリーケースを奪われ、こっち、と言いながら誘導された。
その先にいた制服を着た女性に軽く手を上げるとお辞儀を返され、漣は涼しい顔でその奥にあるエレベーターへと我が物顔で進む。