あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「そんなんじゃ如月美李亜にしてやられるよ!」
そして最後に、あまり聞きたくはなかった名前を出されてしまった。
「そのドラマの準主人公ってあの子でしょ?あの子、性格は難ありだけど容姿の使い方は完璧だから気張っていかないと!」
「萌葉は共演経験あるんだっけ」
「そう。とにかく男に取り入るのが上手いの!正直演技力はあんまりなのに、人気アイドルって地盤と愛嬌だけは万全だからそれで色んなところで使ってもらえてるんだと思う」
「お前それ褒めてんの、貶してんの」
「那由多だって現場一緒になったら気を付けた方がいいよ。彼女、異性の前では本当に可愛いから」
「どうだろうな。そもそも好みじゃないしな…」
「へー。那由多って年上の色っぽ〜いお姉さんが好み?」
「語弊。落ち着いてる女性が好みってだけ」
お前とは正反対のな、とまたも余計な事を言っては萌葉を怒らせる姿はもはやコントではないかと言うくらい面白くて、2人はずっとこうして仲良くケンカをしていて欲しいと思った。
それから2人に共演者の名前をいくつか出して彼らの知る限りの情報を教えてもらった。性格だったり、事務所だったり。
私は忘れないようにスマホを取り出してメモをしていたのだけど、それを見てあまりに素直だから心配になると苦言を呈された。
「あんまり誰彼構わず信頼しちゃダメだよ?」
「もちろんだよ。萌葉達だから信頼してるの」
本音を言えば、すっかり酔った萌葉は加減を忘れて抱き締めてきた。細い体型のせいで胸周りの少し薄い萌葉の抱擁は少しだけ痛かった。言わないけれど。