あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
普段は変装なんてせず、したとしてもマスクくらいしかつけない私だけど、漣の自宅へ行く時だけは慎重に慎重を重ねてキャップも被る。サングラスもつけたいところだけど逆に目立ちそうで断念した。
行き交う人の視線がスマホに向いているだけでこんなに安心する事があるのかと思うと、私の感覚はすっかり世間一般からズレてしまったのだと再認識する。
いつだって私の常識を壊してくるのは、漣なのだ。
漣のマンションのコンシェルジュは非常に優秀で、2度目に来訪した時は名乗ったけれど以降はほぼ顔パスで通されるようになった。
また女かと思われているんだろうなと複雑な心境でエレベーターへ乗り込み目的の階へと連れられれば、玄関まで迎えに来ていた漣とかち合った。
「え、何…」
なんだか妙な圧を感じて身を引けば、無言でスマホ画面を突きつけられる。
「友達?」
映し出された画面は萌葉のアカウント。彼女が投稿した写真には、3人が笑顔で並ぶ姿が表示されていた。