あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
監督達が映像を確認し、アシスタントがセット内で声を張り上げる。
「シーン13、オッケーです!次、シーン27いきます!」
その声と共にセットから人が引き、生徒役は本日最後の撮影シーンともあって現場を後にする者も多い。
私もセットから離れはしたが、控室には向かわずそのまま邪魔にならない隅で足を止めた。
「和泉さん、この後って予定無いですよね」
「今日はこれで終わりだがどうかしたのか」
「撮影…もう少し見て帰ってもいいですか」
本当なら明日に備えて帰る方がベターなのだが、どうしても人気女優の演技が見たかった。実力派と呼ばれる彼女がどう演者として表現するのか、あとは美李亜とどうかけ合うのか、勉強をしたかった。
和泉さんはそれを察したのか、肩をすくめながら少しだけなと言葉を残して何処かへ行った。
私は追い詰められていたのだと思う。
それだけ美李亜の言葉は重かった。
彼女のような極端な考えがある事を初めて知った。けれど彼女が思うということは、そういう風に思う人も世の中には少なからず存在するという事だ。
ただでさえキャリアも実力も無いのにこんなところで傷ついている訳にはいかない。無理をしてでも食らいついていかないと。
唇を噛み締め、撮影を見つめた。