あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
美李亜と馬が合わないのは相変わらずだが、あの日以来何かを言われる事はなく数週間が過ぎた。
とは言っても2人きりになる機会が無かっただけで、彼女は表立っては悪口は言ってこないから必然的にそうなってるだけで相変わらず敵意は感じる。
気付けばあれだけ日をおかずに会っていた漣と会わなくなって、2ヶ月が経っていた。
寂しいとは、思う。少しだけでも顔が見たいなとも。
けれど同時に今は心乱されるのが嫌だった。ただでさえ気持ちに余裕が無い中、漣の事でまで悩んでしまえば確実に仕事に支障をきたす。そんな気がして怖かった。
美李亜と交流をしない事で何とか保っていた心の平穏だが、そんな日はずっと続かないんだと、今、この業界の厳しさを目の当たりにしている。
「番宣…ですか」
移動中の車内、私は後部座席から和泉さんを見つめた。
「ああ。紅羽のスケジュールの都合が悪くなってお前に白羽の矢が立った。美李亜と一緒に出演しろとさ」
和泉さんが運転中で良かった。きっと今私はすごい嫌だという顔をしているだろうから。
因みに紅羽さんというのは主演女優の名前で、宝塚出身のそれは美しい女性だ。
番宣はゴールデンタイムのバラエティで、個人的には嬉しいお話だ。けれど美李亜と2人でとなれば話は大きく変わってくる。何せ私は、性格に難のある彼女から酷く嫌われているのだ。