あばかれ、奪われる〜セフレから始まる歪愛〜
「やりにくいだろうが上手くやれよ」
「…気づいてましたか」
「あれだけガン飛ばされりゃ普通に気づくだろ」
大根役者が、と悪態をつく和泉さんに「言っちゃった…」と声が漏れたのは言うまでもない。
「媚び売る相手間違えんなよ。売るなら監督とか紅羽にしとけ。今のところそっちからの悪印象はないから現状維持な」
「…美李亜も人気はありますよ」
「あいつのやり方は合理性に欠ける。出る杭を打ちたいのか知らねえが、実力も無いのにあれじゃいつか干される。どうせ長くは続かねえよ」
和泉さんはどうも彼女が嫌いらしい。口は悪いが和泉さんは私を商品としては大事にしてくれているので、まあそれに害をなそうとすれば気に食わないのは分からないでもない。
和泉さんからその番宣を告げられたのが収録の数日前。本当にたまたまスケジュールの空いていた私に話が回ってきたという感じが否めない。
気が重いままバラエティの心得を和泉さんから教えてもらいながら数日が過ぎ、あっという間に収録の日を迎えた。
案の定、現場入りすれば美李亜からそれはもう嫌そうな顔をされた。
理不尽さを感じながらも数時間かけて収録をなんとか終え、美李亜が男性アイドルと話し込んでいるうちに逃げてしまおうとそそくさとその場から逃げ去った。