道具屋の看板娘、冒険者名は『死神』です。アイテム過剰購入冒険者にムカつきますが、ギルマスにはイヤな奴だと思われたくありません
「いえ、あなたからギルドマスターと呼ばれるのは寂しい」

「はあ?」

「どうか、冒険者名か名前で呼ばれたい」

「な、何を言って……」

ラヴィーネは顔から火が出るほど、体も頭も熱くなった。

ギルドマスターの顔を見れずに、手で顔をおおった。

「名前は『セイリオス』冒険者名は」

「し、知っていますわ。ルプス()アルゲンタムルプス(銀狼)』ですわ」

「そう、そうです。ご存知でしたか」

「知らないはずがありませんわ。伝説の勇者パーティー「ディスティナータ」の筆頭冒険者でしたもの」

「そう呼ばれていたこともありましたね」

「まるで他人事ですのね」

「思い出したくないことがあるからでしょうか」

ラヴィーネはそれが、ギルドマスターが冒険者を引退した理由に違いないと思った。

「けれど……忘れるわけにはいかないこと。ずっと心に留めおかなくてはならないことです」
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