君の心に触れる時
新たな命
結婚してから、春香と蓮は幸せな日々を送っていた。春香はリハビリに励みながらも、蓮と過ごす時間が何よりの支えになっていた。
しかし、病気の不安は常に付きまとっていた。
蓮も春香の状態を気にし、少しでも過労やストレスを避けられるように心掛けていた。
ある日、春香は体調に異変を感じた。
軽い吐き気と倦怠感が続くようになり、最初は風邪かと思ったが、気になる症状が続いたことで不安が募った。
蓮が心配そうに
「病院で検査を受けたほうがいい」
と言うと、春香は渋々検査を受けることにした。
検査から数日後、春香は診察室に呼ばれ、医師から妊娠していることを告げられた。
春香は最初、その言葉が信じられず、驚きと戸惑いが交錯していた。
しかし、診断結果が確かであることを確認すると、心の奥底で喜びと同時に、予期しない未来への不安が広がった。
「本当に?」
春香はまだ信じられないように呟いた。
「はい、おめでとうございます。」医師は微笑んで言った。
春香は病院から帰る途中、蓮に電話をかけた。
「蓮…私、妊娠したって。」
その言葉に、蓮は一瞬黙った後、信じられない様子で答えた。
「本当に…?それって…」
春香の心の中でも、蓮の反応と同じように、驚きと喜びが交錯していた。
彼の声を聞きながら、「はい、妊娠してるみたい。」と、ようやく実感が湧いてきた。