君の心に触れる時
その頃、蓮は病院で患者の診察をしていた。
ふとポケットに入れたスマートフォンが振動し、画面を見ると
「着信:春香」の文字が表示されていた。
しかし、診察中だったため一旦無視するしかなかった。
数分後、受付の看護師が慌てた様子で駆け込んでくる。
「先生、大変です!病院近くで妊婦さんが倒れたとの通報がありました。通報者の話によると、春香さんに似ているとのことです!」
蓮の心臓が一気に高鳴る。
「どこだ!?正確な場所を教えてくれ!」
怒鳴るように叫びながら、受付を飛び出し、全速力で現場に向かった。
蓮が駆けつけた先では、数人の通行人が慌てた様子で集まっていた。
人々の間から見えたのは、歩道に横たわる春香だった。顔は蒼白で、冷や汗が滲み、呼吸は浅く不規則だった。
「春香!」
蓮は彼女に駆け寄り、震える声で名前を呼び続ける。だが、反応はない。冷静さを保とうと必死になりながら、脈を確認し、応急処置を試みる。
「お願いだから、目を開けてくれ…!」
彼女の顔に触れる手が震えた。
周囲の人々に救急車の到着を確認しながら、蓮は彼女の脈拍がさらに弱くなっているのを感じ取る。
「頼む…こんなところで死なせるわけにはいかない…!」
救急車が到着するまでの数分間が永遠のように感じられた。
蓮は必死に春香を支えながら、医師としての知識と愛する人を救いたいという気持ちが交錯し、胸が張り裂けそうだった。
「お腹の赤ちゃんも…無事でいてくれ…!」
蓮は彼女の鼓動を確かめながら、祈るように叫んだ。
救急車のスタッフが彼女を担架に乗せると、蓮も同乗し、心電図の確認や酸素供給を手伝った。
だが、心拍は安定せず、危険な状態が続いていた。