鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 切ない泣き顔を見てしまったから、なにも恐れる必要のない穏やかな眠りについていてほしいと思う。幸せな夢を見て、また少しだけトラウマを克服できた喜びを噛みしめてくれればいいと。

 それなのに俺は、彼女が眠れていなければいいとも思ってしまっている。

 俺のように焼け付くような想いで胸がいっぱいになっていてほしい。呼吸の仕方を忘れるほど苦しんでほしいし、そのせいで眠れない夜に心を乱されてくれたらいい。

 ドアにそっと手のひらを押し当て、彼女のぬくもりを思い出す。

 ここ最近、ずっと律は様子がおかしかった。普段通りの振る舞いをしてはいたが、明らかに目を合わせる回数が減ったのだ。

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