憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「A.七星から俺にキスする」

「私からキス……って、無理!
無理です!」

前に手を突き出し、思いっきり振って拒否する。
いまだに宇佐神課長からキスされるのだって慣れないのに、自分からなんて無理に決まっている。

「そこまで拒否されると傷つくな……」

「うっ」

らしくなく彼がしゅんと項垂れてみせ、悪いことをしている気持ちになった。
いや、でも、無理なものは無理だ。

「も、もうひとつはなんですか?
場合によってはそちらなら大丈夫かと思います」

「場合によってかよ」

おかしそうに課長がくつくつと喉を鳴らして笑う。
もう立ち直ったのか、先ほどのは演技だったのか。
私には判断がつかない。

「じゃあ。
B.俺を名前で呼ぶ」

「名前……」

それならキスよりもずっとハードルが低そうに思えた。
だって、名前で呼ぶだけでしょ?
いとこの子だって名前で呼んでいる。

「えっと」

口を開きかけて、止まる。
よく考えたら私は課長の下の名前なんて知らない。

「……宇佐神課長の名前ってなんですか?」

「はぁっ」

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