憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
私が曖昧な笑顔で誤魔化しつつ聞いた途端、彼は呆れるように大きなため息をついた。

「お前、上司のフルネームも知らないのかよ」

「えー、知らないですよ。
小山田部長だってわからないです」

だいたい、上司どころか職場の人間のフルネームを知る機会なんてそうそうない。
名刺を見たときか、そういうプライベートな話をしたときかくらいだ。

「そういえば宇佐神課長は、よく私の名前を知ってましたね?」

プライベートな関係になってから彼は、ナチュラルに私を七星と呼んでいた。
いまさらながら不思議だ。

「あのな。
お前は一部のデザイナーとかに七星ちゃんって可愛がられてるだろ。
それで知らないほうがおかしい」

「そうでした……」

少し前にポスターデザインでトラブったKENEEさんをはじめ、幾人かのデザイナーさんやカメラマンさんに私は「七星ちゃん」と呼ばれ、可愛がられている。
とはいえ、彼らは他の女性も名前呼びだったりするし、私だけが特別ではないと思う。

「それで。
俺の名前は龍志だ」

こほんと小さく咳払いをして仕切り直し、今度こそ課長が名前を教えてくれる。

「えっと。
じゃあ」

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