憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「や、全然、無理とかしてないですし」

私を再びベッドに寝かしつけようとする龍志と、出勤したい私とで軽く攻防戦を繰り広げる。

「困るんだよ、俺が」

「なにが困るんですか!」

「あー……」

龍志はなかなか理由を言わず、単なるえこひいきの超過保護かと思ったものの。

「……宮越(みやこし)みたいになられると困る」

真っ直ぐに私を見た彼に少しもふざけた様子はなく、しかもその名前にどきっとした。
私が入社してすぐの頃、宮越さんというちょうど龍志と私のあいだの年の男性社員がいた。
熱があるのに無理して出社してきて、翌日には悪化して入院。
後遺症が酷く、そのまま休職から退職となった。
しかも高確率で伝染する感染症だったから部内パンデミックで、しばらく大変だった……。

「それは確かに、そう、ですね」

その彼を持ち出されたらなにも反論できなくなる。
そうだよね、管理職としてそんなことになったら大変だし、私も周囲に多大な迷惑をかけるのは嫌だ。
あのときは親御さんから子供にも感染し、本当に可哀想だった。

「わかりました。
お言葉に甘えて今日は無理せず休みます」

「うん」

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