憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「いいから!
ふたりとも一旦、落ち着いて!」
「はぁーっ、本当に面倒。
龍志が勤めてる会社からの依頼だから受けたけど、今からでもやめようかな……」
これ見よがしな視線を私たち社員にルナさんが向ける。
しかし、その口端が馬鹿にするように僅かに持ち上がっているのを私は見逃さなかった。
「また龍志って……」
「申し訳ありません!」
ルナさんに噛みつこうとしたCOCOKAさんの頭を慌てて押さえる。
こんなの、ルナさんの思うつぼだとわかっていた。
けれど、当日の今になって降板など、現場は大混乱、会社にもどれだけの損害を出させるかわからない。
さらにどんな噂が立てられるか。
もちろん、ルナさんにも損害賠償が発生する可能性もあるが、それを払うくらい彼女には軽いのだろう。
「COCOKAさんには十分、言って聞かせますので。
ここは一旦、収めてもらえませんか」
力一杯、COCOKAさんの頭を押さえて下げさせ、私も一緒に深く頭を下げる。
「ちょっ、七星お姉さま!」
「お願いだから今は従って」
抵抗する彼女にだけに聞こえる声で頼むとわかってくれたのか、おとなしくしてくれた。