憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「ほらみんな、散った、散った!
もう開場までさほど時間はないんだ!
さっさと持ち場に戻れ!」

「はっ、はいっ!」

大慌てで野次馬たちが散っていく。
あとには私とCOCOKAさん、ルナさんとそのマネージャー、さらに龍志が取り残された。

「俺はこっちをフォローしてくるから、井ノ上はそっち、頼む」

龍志が視線でCOCOKAさんを指す。
私が彼女の担当だからなのはわかるが、少しだけもやっとした。

「はい。
ほら、COCOKAさん。
控え室に戻りましょう」

「……はい」

自分がとんでもないことをしてしまったという自覚があるのか、COCOKAさんはしょんぼりと項垂れている。
反対に龍志に促されて控え室に入るルナさんはふて腐れているように見えた。

「本当にすみませんでした!」

ふたりきりになった途端、COCOKAさんは私に向かって勢いよく頭を下げた。

「なんかマネージャーさんに控え室がショボいだの、スタッフの気が利かないだの、アイツが文句言っているのが聞こえて、我慢できませんでした……」

さっきまでの勢いはどこへやら、彼女はすっかり意気消沈している。
それだけ自分の行動を後悔しているのだろう。

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