憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「ありがとう。
そのときはお願いするよ」

にっこりと龍志が笑い、私の胸がずきんと痛んだ。
それが顔に出ないようにグラスに残っていたお酒を一気に飲み干す。
そっと隣りあう手を龍志が握ってくれて、その温かさでようやく笑えた。

由姫ちゃんとCOCOKAさんを送っていき、龍志とふたりになる。

「いつ結婚するのかって聞かれちゃいましたね」

「そうだな」

それっきり龍志はなにも言わない。
居心地の悪さになにか言わねばと私が焦り始めた頃、ようやく彼が口を開いた。

「……結婚、するか」

「え?」

ぽつりと呟かれた言葉がなにを意味するのかわからず、彼の顔を見ていた。
しかし龍志は真面目な顔で真っ直ぐに前を見て運転していて、なにを考えているのかわからない。

「今度の旅行先、俺も調べたんだ。
観光客向けに疑似結婚式を挙げられるところがあるらしい。
そこで結婚式、挙げるか」

たとえ疑似でも、龍志と結婚式を挙げられる。
そんなの、本当にいいんだろうか。

「ま、考えといてくれ」

「……する」

「ん?」

「龍志と結婚、する」

いつまで龍志と一緒にいられるのかわからない。
< 395 / 435 >

この作品をシェア

pagetop