憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
なに不安になって疑ったりしていたんだろう。

「いや、いい。
俺も同じ状況だったら疑っただろうし。
……いや」

床に手をつき、彼が私のほうへと身体を近づけてくる。
もう片方の手で私の顎を掴み、彼は無理矢理視線をあわせさせた。

「嫉妬に狂って七星を監禁し、この身体にどれだけ俺が七星を愛しているか教え込んでいただろうな」

眼鏡の向こうで目が細くなり、愉悦を含んで歪む。
どくん、どくんと心臓が警告するかのように大きく鼓動し、はぁ、はぁっと知らず知らず呼吸が荒く、熱を帯びたものになっていった。
ゆっくりと近づいてくる彼の顔を、怯えた目でただ見つめる。

「……なーんて、な」

耳もとで熱い息を吐きかけて彼が囁く。
淫靡な重低音が私の鼓膜を犯し、じんと頭を痺れさせた。
耳朶からその形を確かめるかのようにねっとりと彼が耳を舐め上げる。
まるで燃えているんじゃないかと思うほど熱い耳を両手で押さえ、離れていく彼の顔を見ていた。

「七星は俺ものだ。
絶対に誰にも渡さない。
別れた、そのあとも」

龍志の視線が身体を、私の心を縛っていく。
酷いことを言われているはずなのに、それが酷く嬉しい。

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