憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
このあいだのCOCOKAさんへの寛大な対応もあり、専務を尊敬していたのに、こんな普通の人間だったなんて。
以前はルナさんにこんな美しい女性になりたいと憧れも抱いていたが、本性はただのわがままお嬢様と知ってしまえばその美貌も色褪せて見えた。

「君のような人間は我が社にはいらない。
即刻荷物をまとめて……」

「遅くなって申し訳ない!」

そのタイミングで突然ドアが開き、専務が口を噤む。

「当事者である私なしで話をするなど、おかしくないですか」

入ってきたその人――龍志はごく自然に、私の隣へ腰を下ろした。

「べ、別に君を無視して話をしていたわけでは。
これは井ノ上くんひとりが悪いのが、明白だからな」

龍志の話など聞かず一方的に決めつけて私を断罪しようとしていたのは事実なので、専務の視線が泳ぐ。
ルナさんは不機嫌に目を逸らした。

「どうして井ノ上ひとりが悪いのでしょうか。
井ノ上が、私がルナさんと婚約関係にあると知ったのは、ルナさんが我が社との契約破棄を持ち出してきてからですが」

そうなのかと専務が私の顔を見る。
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