憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
スーツの内ポケットから取り出した紙を広げ、龍志がテーブルの上に滑らせる。

「再三、私のほうから破棄を申し出ています。
実家にも確認しましたが、それで問題ないと回答をもらいました。
さらにルナさんの親御さんも了承済みです」

とんと、龍志の長い人差し指が紙を突く。
どうもそれはその念書かなにかのようだ。

「この婚約の話はルナさんと私の父が、私や両家の意思を無視して勝手に進めていることです。
兄はほとほと迷惑しているし、ルナさんのご家族も困っていると言っていました」

「そんなはずはないわ!」

怒りを露わにし、ルナさんが立ち上がる。

「お父様は私の好きにしたらいいって!」

「お前のわがままにも、強引に押してくる俺の父にも困り果てて、投げやりになっているんだ。
面倒だから放置しているが、迷惑をかけているなら申し訳ないと俺に頭を下げてきたぞ」

はぁっと呆れ気味に龍志がため息をつく。
それを見てルナさんの顔がみるみる赤く染まっていった。
専務は思いがけない展開に、どちらの味方につくべきか測りかねているようでおろおろしている。

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