憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「時間ができてしまった……」

閑散期なので家でまでやるような仕事はほとんどない。

「あー……」

だらだらと床に寝転びながら、ひとりでこうやって長時間過ごすのはひさしぶりだと気づいた。
そもそも、ずっと龍志の部屋に入り浸っているので、自分の部屋にいること自体が最近はほとんどない。

「なにしよう……」

無意味に床をごろごろと左右に転がりながら、自分の部屋なのに落ち着かないのに気づいた。
それだけ私にとって、龍志の部屋で過ごすのが当たり前になってしまっていた。

「……そだ」

思いついたことがあって、起き上がる。
こんなに時間があるときこそ、私が唯一、人から褒められる料理、カレーを作るべきでは?
あれは煮込みに時間がかかるから、こういうときでないと作れない。

「よし!」

それで決まりだと早速、私は買い物へ出かけた。



「ただいまー」

「おかえりー」

連絡をもらったのでできあがったカレーを温めていたら龍志が帰ってきた。
私の前に立ち、ちゅっと軽く唇を重ねてくる。
離れた彼は私の顔を見て、眼鏡の下で目尻を下げて嬉しそうに笑った。

「今日はカレーか」

「はい。
これだけは得意料理なんです」

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