憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
ふふっと小さく、彼がおかしそうに笑う。

「それで、大学から家を出た。
とはいえ、学費は出してもらったけどな。
就職もとやかく言われたが無視して今の会社に入ったし。
まあ、それもこれも兄貴のおかげだっていうのはわかってる」

ごろりと寝返りを打ち、龍志は私の顔を見た。

「家に戻れば俺の意思とは関係なく、兄貴と争わなければいけなくなるから本当は戻りたくない。
親父も兄貴は優しすぎると俺を押してるしな。
それに俺が結婚して子供を作れば、今度は兄貴の子供とも争わなければいけなくなる。
だから俺は結婚もしないし、子供も作らない」

そっと頬に触れるようにして、彼が私の髪を払う。
眼鏡をかけていなくて視えていないはずだが、彼の目は確実に私を捉えていた。

「そういうわけで、七星はなにも心配しなくていい」

ゆっくりと身体を戻し、彼がまた天井を向く。

「……うん」

反対に私は彼に身を寄せ、その肩に顔を埋めた。
そんな私の頭を、龍志が撫でてくれる。
やはり、龍志は優しい。
私が龍志のためにできることってないのかな。
龍志の事情を知っている人、笹西さんに相談してみようと決めた。
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