あきれるくらいそばにいて

「星野さん。」

未来がわたしの方を向き、わたしを呼ぶ。

「はい。」
「仕事のことは心配しなくて大丈夫だから。星野さんの業務は俺が引き継ぐし、舟田さんも居るから大丈夫。星野さんは自分の身体のことだけを考えて、病気を治して、ゆっくり休んで来てから戻って来てください。」

未来の言葉に先程まで堪えていた涙が零れ落ちる。

「ありがとうございます。」

わたしは、小浦部長と未来に向かって頭を下げると、明日からの休職に向けて、未来に最終的な引き継ぎをした。

そして、いつも横柄な態度の部長に対して、みんなの前で正論を並べた未来の評価は更に高くなり、女性社員から「白崎主任、かっこ良かったです!」と褒め言葉の嵐が飛んでいた。

未来は、本当にかっこ良かった。

もしあれがわたしじゃなくて、他の女性社員だったとしても、未来は同じ事を言っていたと思う。

優しく思いやりがあり、穏やかな未来ではあるが、自分の芯がちゃんとあり、曲がったことが大嫌いなのだ。

そしてその日の帰り、わたしは舟田さんに「病気ツライだろうけど、頑張ってね。」と、初めて優しい言葉を掛けてもらった。

いつも嫌がらせをしてきた、あの舟田さんの言葉にわたしは驚いた。

未来の言動がみんなの心も動かしている。
そう感じた。

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