あきれるくらいそばにいて

その日の夜、未来が仕事帰りに買って来てくれたお弁当を食べながら、診察結果を未来に報告した。

「もう普通の生活に戻って大丈夫だって。仕事も無理しなければ復帰して良いって言われた。」
「そっか、良かった!じゃあ、仕事は予定通り明後日から復帰するのか?」
「うん、そのつもり。あとね、お風呂もOKもらったから、今日からやっとお風呂入れる〜!嬉しい〜!」
「そっかぁ!適温で沸かすからゆっくり入ってきなさい。」
「うん!」

そう話しながら、わたしはお弁当に入っていたブロッコリーを頬張った。

「あとね、、、もう一つ言われたことがあって、、、」
「ん?何?」
「、、、性行為、しても大丈夫ですよって、、、。」

わたしの言葉に一瞬固まった未来は、何と返して良いのか分からない様子で「あ、あぁ。」と言った。

未来の反応がそうなるのも当然だ。

わたしがトラウマで避けている行為だからだ。

「わたしね、、、思ったの。もう女としてじゃなく、一人の人間として生きて行くしかないと思ってたんだけど、、、まだ、わたしが女として生きられる選択があったんだって。自分が、、、避けてただけで、、、まだ選択が残されてたんだって、、、。」

未来はわたしの言葉に黙って耳を傾け、そして立ち上がるとわたしに歩み寄り、立ったままわたしを抱きしめた。

「わたし、、、父親から植え付けられたトラウマに打ち勝ちたい、、、。そしたら、、、何も怖いものなんて無くなる。未来に、、、愛してもらえる、、。」
「俺は、その行為がなくても、葉月のことを愛してるよ?」
「未来なら、そう言ってくれるって思ってた。でもね、、、わたしが納得いかないの、、、。それに、、、このまま父親へのトラウマを抱えながら生きて行くのは嫌だ。」

わたしはそう言うと、未来を見上げた。

「未来、、、わたしがトラウマを克服する手伝い、、、してくれる?」

わたしの言葉に未来は優しく微笑み、「分かった。」と頷いてくれた。

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