あきれるくらいそばにいて
それから、わたしは無事に仕事復帰を果たした。
まず最初に小浦部長の元へ行き、「長期のお休みをいただき、ありがとうございました。今日からまた頑張ります。」と言った。
すると、小浦部長はちょっと照れくさそうに「まぁ、無理しない程度に頑張ってくれ。おかえり。」と言ってくれたのだ。
久しぶりの自分のデスクに戻れば、舟田さんが「おかえり。あまり無理するんじゃないよ?」と言ってくれ、あんなにフロア全体の雰囲気が悪かった支店とは思えない程、穏やかで平和な雰囲気に変わっていて、いつもお喋りばかりしていた舟田さんが自分の担当の仕事をきちんとこなしていた。
わたしはそのことに驚いたが、みんなを変えたのは未来だと、わたしは思った。
わたしが戻って来た時には働きやすい職場に変わっていて、誰かが休んでも愚痴愚痴言う人は居なくなっていて、フォローし合える環境になっていた。
そして、わたしが仕事復帰してから1週間程経った時のことだった。
仕事が終わり、未来と一緒に帰る為に会社の正面玄関前で未来が車を持って来てくれるのを待っていた時、一人の年配の男性がわたしに近付いて来るのを感じた。
最初は気にしないようにしていたが、こちらに近付いて来るにつれ、嫌な雰囲気を感じ、わたしはふとそちらを見た。
「葉月、、、やっと見つけたぞ。」
みすぼらしい格好でニヤニヤしながらそう言って来たのは、もう自分の父親だとは思いたくないが、わたしをトラウマで苦しめた父親本人だった。