同期の姫は、あなどれない
 私はフォークにパスタを巻きつけながら、どう話そうか頭の中で考える。

 今はカフェテリアにいる人はまばらだ。私は少し声のトーンを落としながら、最近彼氏との会話がすれ違っていることや、週末の電話で険悪な雰囲気になってしまったことなどをかいつまんで話した。

 「えー、ありえない!彼氏さんちょっと酷すぎですよ!」

 「倫花ちゃん、声が大きいから、、」

 先にパスタを食べ終わった倫花ちゃんは、アイスティーが入ったグラスをテーブルにドンっと置いて怒りをあらわにしている。
 私は慌てて周囲を見回すけれど、幸いこちらを気にしている人はいなさそうだ。

 「だって遠距離になってからまだ1回しか会えてないんですよね?そりゃゴールデンウィークの予定を聞くのは当然じゃありません?それに連休まであと少しじゃないですか。それなのにまた今度って!」

 倫花ちゃんは、私が賢吾との会話で感じていた釈然としない気持ちをズバズバと指摘してくれて、すごい剣幕で怒ってくれている。

 ただ、第三者の共感によって私の不満が昇華されていく一方で、少し冷静にもなって、私も悪かったのかなという気持ちも芽生えてくる。

 「うん、忙しいっていうのもわかるんだけどね。新しい職場に赴任ってストレスだろうから」

 「彼氏さんと付き合ってどれくらいでしたっけ?」

 「丸2年過ぎたところかな」

 「2年かぁ。。とにかく先輩、そんな弱気じゃダメですよ!たぶん彼氏さんも付き合っている期間が長くなってきて、ちょっと甘えというか、先輩が優しいから調子に乗っちゃうところもあるんじゃないんですか?一回ガツンと言わないと!
 あ、姫元先輩、ちょうどいいところに!ちょっと聞いてくださいよー」

 えっ?と私が驚いて振り向くと、普段あまり接点のない後輩の倫花ちゃんに呼び止められたからだろうか、トレイを持った姫が怪訝そうな表情で立ち止まっていた。

 これは、絶対めんどくさそうなことに巻き込まれたと思っているに違いない。


 
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