同期の姫は、あなどれない
「ごめんなさいね?この人夢中になるとすぐ周りが見えなくなるから」
「いえ、大丈夫です。すごく面白かったので、、」
申し訳なさそうに謝る女性に、見覚えがあった。
以前、代官山で姫と一緒にいた女性だ。確か名前は――――
「夏川、透子さん…?」
「あら、どこかでお会いしました?」
女性が驚いて目を見開く。しまった。思わず声に出してしまったけれど、あのときは私が偶然見かけてしまっただけで、直接面識があるわけではないのに。
「あれ、君、透子と知り合いなの?」
「いえすみません、そういうわけではなくて、、」
どう説明しようか迷っていると、お店の入り口の方から電話を終えて戻ってくる姫の姿が見えた。
姫は私たちの様子が視界に入ると、思いっきり眉をひそめて訝しげな表情をした。
「……兄貴、これどういう状況?」
「おぉ樹、久しぶり」
ほっとしたのもつかの間、私は隣りでひらひらと手を振る男性と、正面に立つ姫の顔を見比べる。今、『兄貴』って言った?
「お、お兄さん、、?」
目を白黒される私を、お兄さんはニコニコと見つめウインクした。
図らずも大きな水槽の前に会してしまった私たちは、立ち話では迷惑になるからと席へ移動して、ようやく腰を落ち着ける。
「どうも、申し遅れました。樹の兄の上総悟です。この店の責任者で、あとは他にもいろいろやってまーす」
私は渡された名刺を受け取ると、そこには取締役以外にもさまざまな肩書きが書かれていた。それを見てなるほど『いろいろ』と形容するしかないだろうなと納得する。
(あれ、でも、姫とは苗字が違う?)
「言ってなかったけど、うちは両親が離婚してて俺は母親側に引き取られたから」
私の疑問を感じ取った姫が私に視線を向けた。
「いえ、大丈夫です。すごく面白かったので、、」
申し訳なさそうに謝る女性に、見覚えがあった。
以前、代官山で姫と一緒にいた女性だ。確か名前は――――
「夏川、透子さん…?」
「あら、どこかでお会いしました?」
女性が驚いて目を見開く。しまった。思わず声に出してしまったけれど、あのときは私が偶然見かけてしまっただけで、直接面識があるわけではないのに。
「あれ、君、透子と知り合いなの?」
「いえすみません、そういうわけではなくて、、」
どう説明しようか迷っていると、お店の入り口の方から電話を終えて戻ってくる姫の姿が見えた。
姫は私たちの様子が視界に入ると、思いっきり眉をひそめて訝しげな表情をした。
「……兄貴、これどういう状況?」
「おぉ樹、久しぶり」
ほっとしたのもつかの間、私は隣りでひらひらと手を振る男性と、正面に立つ姫の顔を見比べる。今、『兄貴』って言った?
「お、お兄さん、、?」
目を白黒される私を、お兄さんはニコニコと見つめウインクした。
図らずも大きな水槽の前に会してしまった私たちは、立ち話では迷惑になるからと席へ移動して、ようやく腰を落ち着ける。
「どうも、申し遅れました。樹の兄の上総悟です。この店の責任者で、あとは他にもいろいろやってまーす」
私は渡された名刺を受け取ると、そこには取締役以外にもさまざまな肩書きが書かれていた。それを見てなるほど『いろいろ』と形容するしかないだろうなと納得する。
(あれ、でも、姫とは苗字が違う?)
「言ってなかったけど、うちは両親が離婚してて俺は母親側に引き取られたから」
私の疑問を感じ取った姫が私に視線を向けた。