同期の姫は、あなどれない
「もう何年前だっけ、俺が中2だったから樹が小4か。あ、俺らの母さんってフラワーデザイナーなんだけど、あの頃は仕事に行き詰ってるときで、離婚したあと樹は母さんについてイギリス行ったんだよな」
「正確にはドイツとイギリス。で、俺は大学入学のタイミングで日本に戻ってきたわけ」
「そ、そうだったんだ…」
二人ともあっけらかんと話しているけれど、初めて聞いた私は少し衝撃だった。何と言っていいか分からず迷っていると、悟さんは気さくに笑う。
「でもほら、この通り兄弟仲はすっごくいいんだよ?」
「だから、くっつくなって」
姫は、肩を組もうとするお兄さんの手を払おうとするけれど、本気で嫌がっているわけではなさそうだ。
よく電話のやり取りもしているのは知っていたけれど、こうやって目の当たりにすると仲の良さが本当だと分かって私も微笑む。
そんな二人の様子を微笑ましそうに見ていた夏川さんが、私の方へと向き直って細くて柔らかそうな手を差し出した。
「初めまして夏川透子です。私のことは透子って呼んで?その方が呼ばれ慣れてるから」
「はい、ありがとうございます。早瀬ゆきのです、よろしくお願いします」
私も自己紹介をして、差し出された手を握る。
「こちらこそよろしくね。あ、私は一応、悟の婚約者ってところかしら?」
「ちょっと、一応っておかしくない!?」
「あらそう?だって結婚式当日までは何があるか分からないでしょ」
その一言に本気でショックを受けていそうな悟さんを、透子さんはいたずらっぽくからかっている。
姫は「この二人はいつもこんな感じだから」と私に耳打ちした。この様子だけで、何となく二人の力関係を推し量ることができてしまう。
「俺達って高校のクラスメイトで、俺はその頃から透子一筋だったのに全然振り向いてくれなくてさ?足かけ10年でようやく付き合えたんだよ」
「仕方ないじゃない、いろいろタイミングが悪かったんだもの」
「10年ですか…!?でも一途で素敵な話ですね」
こんな美男美女の二人が、高校のときの恋を大人になってから実らせるなんて、まるで恋愛ドラマのような話だ。すごく素敵な二人だなと、私は羨望の眼差しで見てしまう。
「正確にはドイツとイギリス。で、俺は大学入学のタイミングで日本に戻ってきたわけ」
「そ、そうだったんだ…」
二人ともあっけらかんと話しているけれど、初めて聞いた私は少し衝撃だった。何と言っていいか分からず迷っていると、悟さんは気さくに笑う。
「でもほら、この通り兄弟仲はすっごくいいんだよ?」
「だから、くっつくなって」
姫は、肩を組もうとするお兄さんの手を払おうとするけれど、本気で嫌がっているわけではなさそうだ。
よく電話のやり取りもしているのは知っていたけれど、こうやって目の当たりにすると仲の良さが本当だと分かって私も微笑む。
そんな二人の様子を微笑ましそうに見ていた夏川さんが、私の方へと向き直って細くて柔らかそうな手を差し出した。
「初めまして夏川透子です。私のことは透子って呼んで?その方が呼ばれ慣れてるから」
「はい、ありがとうございます。早瀬ゆきのです、よろしくお願いします」
私も自己紹介をして、差し出された手を握る。
「こちらこそよろしくね。あ、私は一応、悟の婚約者ってところかしら?」
「ちょっと、一応っておかしくない!?」
「あらそう?だって結婚式当日までは何があるか分からないでしょ」
その一言に本気でショックを受けていそうな悟さんを、透子さんはいたずらっぽくからかっている。
姫は「この二人はいつもこんな感じだから」と私に耳打ちした。この様子だけで、何となく二人の力関係を推し量ることができてしまう。
「俺達って高校のクラスメイトで、俺はその頃から透子一筋だったのに全然振り向いてくれなくてさ?足かけ10年でようやく付き合えたんだよ」
「仕方ないじゃない、いろいろタイミングが悪かったんだもの」
「10年ですか…!?でも一途で素敵な話ですね」
こんな美男美女の二人が、高校のときの恋を大人になってから実らせるなんて、まるで恋愛ドラマのような話だ。すごく素敵な二人だなと、私は羨望の眼差しで見てしまう。