同期の姫は、あなどれない
「ええっ!?うそ、ご、ごめんなさい!」
彼女は慌てて、散らばった書類を集めるためにその場にしゃがみ込む。
―――あぁ、やっぱり。
間が悪いのか、むしろタイミングが良いというべきなのか。
名前の読み間違いといい、ちょっと抜けているというかそそっかしい。
椅子から下りて集めるのを手伝いながらそんなことを考えていると、視線を感じた。彼女の顔を見ると、少し恨めしそうにこちらを睨んでいる。
「そんなに笑わなくても、、」
自覚はなかったのだけれど、どうやら顔に出ていたらしい。
「…でも、自分でやってて私もおかしくなってきちゃいました」
彼女もさっきまでの硬い表情から一転して、おかしそうに笑ってから、ありがとうございます、といって俺から書類を受け取ろうと手を伸ばした。
そのとき偶然、指先が触れる。
その瞬間に痺れるような、今までに感じたことの感覚に驚いて、書類が早瀬に渡る前に手を放してしまった。
せっかく集めた書類がまた床へひらひらと舞い落ちていくのが、スローモーションのように見えた。
「あ、、悪い……」
―――何やってるんだ俺。
女性に触れるのが初めてなわけでもないのに、自分に起こったことが分からなくて動揺する。
それが伝わらないようにするのに精いっぱいで、自分が落とした書類を拾うのすら忘れていた。
「いいえ、大丈夫です。元はといえば私が落としたんですし。。ふふ、でもこれでおあいこですね?」
そう言って目が合うと、少しいたずらっぽく笑った。
今度はどこも触れていないのに、またさっきの感覚が体の中を走ったのを、昨日のことのように覚えている。
彼女は慌てて、散らばった書類を集めるためにその場にしゃがみ込む。
―――あぁ、やっぱり。
間が悪いのか、むしろタイミングが良いというべきなのか。
名前の読み間違いといい、ちょっと抜けているというかそそっかしい。
椅子から下りて集めるのを手伝いながらそんなことを考えていると、視線を感じた。彼女の顔を見ると、少し恨めしそうにこちらを睨んでいる。
「そんなに笑わなくても、、」
自覚はなかったのだけれど、どうやら顔に出ていたらしい。
「…でも、自分でやってて私もおかしくなってきちゃいました」
彼女もさっきまでの硬い表情から一転して、おかしそうに笑ってから、ありがとうございます、といって俺から書類を受け取ろうと手を伸ばした。
そのとき偶然、指先が触れる。
その瞬間に痺れるような、今までに感じたことの感覚に驚いて、書類が早瀬に渡る前に手を放してしまった。
せっかく集めた書類がまた床へひらひらと舞い落ちていくのが、スローモーションのように見えた。
「あ、、悪い……」
―――何やってるんだ俺。
女性に触れるのが初めてなわけでもないのに、自分に起こったことが分からなくて動揺する。
それが伝わらないようにするのに精いっぱいで、自分が落とした書類を拾うのすら忘れていた。
「いいえ、大丈夫です。元はといえば私が落としたんですし。。ふふ、でもこれでおあいこですね?」
そう言って目が合うと、少しいたずらっぽく笑った。
今度はどこも触れていないのに、またさっきの感覚が体の中を走ったのを、昨日のことのように覚えている。